北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成14年度新発生病害虫]

小豆のピシウム苗立枯病 (新称、病原の追加)


平成13年度、Pythium spinosum Sawadaによる小豆の出芽(発芽)不良について、小豆の腐敗病と仮称して報告したが、その後、病名をピシウム苗立枯病と変更し確定した。
さらに、これら小豆の不発芽・出芽不良個体からは、P. spinosum 以外にも、培養形態の異なる2種類のPythium 属菌が分離され、これらによる被害も示唆されたことから検討を行った。その結果、分離菌は接種試験により小豆に対して病原性を示し、発病個体からはそれぞれ接種菌が再分離された。
今回検討した2種のうち一方は、生育適温が30〜35℃で、菌糸幅は8μm前後、蔵卵器(直径15〜37μm:平均30μm)は表面平滑、頂生または間生で、未充満卵胞子を内包する。蔵精器は鉤型、雌雄異または同菌糸性で蔵卵器に2〜6個着生する。付着器はほうき状、20℃で膨状の遊走子のうを形成し、逸出管先端の球のうから遊走子を放出する。以上の諸性質より本菌をP. myriotylum Drechslerと同定した。
またもう一種は、生育適温が30〜35℃で、菌糸幅は2〜5μm、蔵卵器(直径11〜22μm)は鈍頭の刺状突起を有し、頂生または間生で、未充満卵胞子を内包する。 造精器はこん棒型、雌雄同菌糸性で各蔵卵器に1個を頂生する。20℃で球または楕円状の遊走子のうを形成し、遊走子を放出する。以上の諸性質より本菌をP. mamillatum Meursと同定した。
これらPythium 属2種を小豆のピシウム苗立枯病の病原として追加する。

(十勝農試・北大院農・北植防)


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