北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
道内の小豆栽培地帯では、播種後に低温が続くと、小豆の出芽(発芽)が不良となる現象が、過去からしばしば見られていた。
特に白小豆の品種・系統でその傾向が強く、病理学的に検討したところ、Pythium 属菌による病害が、この出芽不良の一因であることが明らかになった。
小豆の出芽前立枯症状が観察されたほ場に小豆を播種したところ、不発芽種子からPythium 属菌が分離された。
さらに分離菌の接種土壌に小豆を播種したところ、不発芽症状が再現され、同不発芽種子からPythium 属菌が再分離された。
病原菌は、形態的特徴と菌糸生育速度から、少なくとも数種が認められ、そのうちの一菌種は、蔵卵器に突起のある特徴などからP.spinosum と同定した。
その他の菌種については、現在のところ未同定である。小豆ではPythium 属菌による病害の報告はなく、病名を小豆の腐敗病(仮称)と提案する。
なお、分離菌接種土壌に播種した菜豆、大豆でも出芽阻害が認められており、これらの作物においても注意が必要である。
(十勝農試・北大院農・北植防)