北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成22年のオウトウ灰星病多発を受け、プロシミドン剤に対する本病原菌の感受性を検定した。道内11市町の20園地から95菌株を分離して検定に供試し、最小生育阻止濃度(MIC)を求めた。その結果、プロシミドン剤のMICは、本剤の使用実績がほとんどない園地から分離された菌株で7.8ppmであり、全供試菌株では125ppm以下に79菌株(83.2%)が含まれたのに対し、常用濃度である500ppm以上で生育する菌株が16株(16.8%)認められたため、これら16菌株を低感受性菌と判断した。低感受性菌が分離された園地は後志地方が3園地、空知地方が3園地、上川地方が1園地であった。なお、高頻度に低感受性菌が分離された園地はわずかであり、低感受性菌は偏った地域に見られる傾向になく、分離頻度の比較的高かった園地は異なる地域にあった。また、達観による発生程度と低感受性菌の分離頻度との間には明確な傾向は見られなかった。 これらから平成22年の多発はプロシミドン剤の感受性低下が原因とは考えられず、本剤の使用を直ちに中止しなければならない状況と現時点では判断されない。但し、低感受性菌が高頻度に確認された園地があることから、今後薬剤の効果に注意を払って使用する必要がある。なお、同時に検定したフェンブコナゾール剤では感受性の低下は見られなかった。 (中央農試・渡島・胆振・後志・石狩・空知・上川・留萌 |
おうとうの灰星病菌の薬剤低感受性菌 (中央農試 栢森氏 原図) |