北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成21年6月、知内町のにら栽培ほ場(品種「パワフルグリーンベルト」)で葉が白色を呈して枯れる症状が発生した。発病株の下葉全体が白色に枯れ上がり、上位葉では葉先の5p程度が白色となる。 病斑部を顕微鏡で観察すると、無隔壁の菌糸が充満していた。病斑部を冷水に浸漬すると遊走子のうを多量に形成した。遊走子のうは無色、レモン形ないし卵形で、大きさは平均59.5×42.0μmで幅広の乳頭突起を有した。病斑部からは、単一の糸状菌が分離され、分離菌はV8培地上で有性器官を形成した。蔵卵器は黄褐色球形で平均径32.7μmで内部に1個の卵胞子を形成し、卵胞子は黄褐色球形で平均径26.7μmであった。蔵精器は扁球形で大きさは平均14.0×13.1μmであった。以上の形態的特徴より本菌をPhytophthora porri Foister、本病をニラ白色疫病と同定した。また、分離菌のrDNA-ITS領域の塩基配列はP.porri のものと99%一致し、形態による同定結果が支持された。 本病は、低温湿潤条件で発生しやすく、知内町内では以前から春と秋に散発的に発生していた。 (道南農試・農業生物資源研究所・渡島農業改良普及センター南部支所) |
にらの白色疫病の発病株 (道南農試 三澤氏 原図) |