北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成22年度新発生病害虫]

かぼちゃの灰色かび病(新発生)


  平成21年7月、森町で栽培中のかぼちゃ(品種「みやこ」)で幼果および葉身が褐変する症状が発生した。幼果では全体が褐変し表面に灰色のかびを密生して、やがて脱落した。葉身では褐色水浸状の不整形病斑を形成し、次第に拡大・融合し、葉面積の半分以上が枯死した。

 これらの症状からは単一の糸状菌が分離され、分離菌をかぼちゃに接種すると原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌は、PDA培地上で大きさ1.5〜2.5mmで中央が高く丸みを帯びた黒色の菌核を形成した。分生子柄は分岐し、先端にブドウの房状に分生子を形成した。分生子は無色ないし淡褐色、卵形ないし亜球形、表面は平滑で大きさは平均11.4×8.7μmであった。

 以上から本菌をBotrytis cinerea Persoon:Fries、本病を灰色かび病と同定した。これとは別に、平成21年11月、貯蔵中のかぼちゃ(品種「雪化粧」)の果実表面に水浸状の不整形病斑を形成する症状が発生した。病原菌の分離および接種試験の結果から本症状も灰色かび病であることが明らかとなった。

 (道南農試・中央農試・渡島農業改良普及センター本所 ・
後志農業改良普及センター本所)

 

かぼちゃの灰色かび病 (葉の病徴,道南農試 三澤氏 原図)

灰色かび病による葉の病徴(道南農試 三澤氏 原図)

灰色かび病による果実の病徴(中央農試 田中氏 原図)

 

 


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