北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成22年5月〜6月、石狩および空知地方の秋まき小麦(品種「ホクシン」、「きたほなみ」、「キタノカオリ」)に、株が著しく萎縮したり葉がかすり状となって黄化する症状が認められた。 エライザ法でウイルスを検定したところ、ムギ類萎縮ウイルス(Soil-borne wheat mosaic virus, SBWMV)抗血清にのみ強く反応が認められた。罹病葉からシロザを用いてウイルスを単離し、小麦(品種「ホクシン」)に罹病葉の汁液を接種したところ、原病徴のかすり症状や黄化症状が再現された。SBWMVの外被タンパク質をコードする遺伝子領域の一部を特異的に増幅するプライマーを用いて診断したところ、特異的な増幅バンドが認められ、そのアミノ酸配列は既報のSBWMV配列と98〜99%の相同性が認められた。以上から、SBWMVによるコムギ萎縮病の発生を確認した。 本病は土壌生息菌のPolymixa graminis が媒介する。コムギ縞萎縮病との判別が難しいので、発生が疑われる場合は近隣の農業改良普及センターへ連絡して、エライザ検定を試験場へ依頼されたい。 (中央農試・空知農業改良普及センター本所・空知南東部支所・ |
小麦の萎縮病による黄化症状 (中央農試 堀田氏 原図) |