北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成22年、空知地方の1農家ほ場でいもち病菌のジクロシメット剤に対する感受性の低下が疑われる事例が認められたことから、栽培されていた4品種からいもち病菌を分離し、MBI-D剤に対する感受性の検定をPIRA-PCR法(高垣ら
2003、Kaku et al. 2003)によって行った。その結果、供試した14菌株はいずれもMBI-D剤耐性菌と判定された。 しかし、現在のところ本剤に対する耐性菌が確認されたのは1農家ほ場のみであり、道内における発生分布状況は明らかになっていない。全道的にいもち病が多発傾向にあった平成22年でもジクロシメット剤が有効であったと思われる事例も認められている。耐性菌の発生実態調査が早急に必要であるが、当面は耐性菌の発生拡大を防ぐため、MBI-D剤の使用は年1回以内にとどめる。 なお、水稲のいもち病に対するMBI-D剤は、現在ジクロシメット剤のほかカルプロパミド剤およびフェノキサニル剤が登録されているが、これらはいずれも交差耐性を示すことが明らかとなっている。 (中央農試・空知農業改良普及センター) |
水稲のいもち病 (中央農試 美濃氏 原図)
遺伝子診断による感受性判定 (中央農試 清水氏 原図)
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