北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成21年度新発生病害虫]

ハスカップのコオノオオワタムシ(新寄主)


 平成21年6月、長沼町の果樹園内のハスカップで、新梢先端付近の葉が縁から下面を内側に巻き込む症状が認められた。葉巻内部には、白色綿状の分泌物を伴った淡緑色のアブラムシが群棲していた。このアブラムシは、有翅虫の形態によりコオノオオワタムシ Prociphilus konoi Horiと同定された(帯広市、鳥倉英徳氏同定)。本種による葉巻症状は、「ウグイスカグラハマキフシ」として知られ、スイカズラ属数種に見られる。本種はハスカップ上の第2世代が全て有翅虫となってエゾマツに移住するため、ハスカップに対する加害期間は短い。夏季はエゾマツの根で世代を重ね、秋には有翅虫がワタムシとしてハスカップに移住、産仔し、卵態で越冬する。
 ハスカップにはニンジンアブラムシ Semiaphis heraclei (Takahashi) 、キツリフネチビクダアブラムシ Semiaphis moiwaensis Takahashiも寄生し、いずれも葉巻症状を発生させる。また、両種はハスカップを主な寄主として、春季に数世代に渡り増殖する。ただし、発生頻度が高いニンジンアブラムシは、葉の上面を内側に巻き、被害部の一部が赤色化する。また、キツリフネチビクダアブラムシは本種同様葉の下面を内側に巻くものの、被害葉は赤変することが多い。

(中央農試)

ハスカップのコオノオオワタムシ (中央農試 岩崎氏 原図)


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