北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成21年度新発生病害虫]

すずばらのオオバラクキバチ(新発生)


 平成20年7月、深川市のすずばら(ロサ ルブリフォリア:Rosa rubrifolia)生産者ほ場で、新梢が萎れる被害が発生した。被害枝のずい部は、おがくずが詰まったようになっており、そこから体長15mm程の乳白色の幼虫が発見された。同様の被害は、他の生産者ほ場でも確認され、本虫の食害が原因と考えられる枝の変形や脇枝の異常伸長も確認された。本虫は、頭殻に1対の単眼を有し、胸脚はこぶ状で腹脚はなく、尾端突起を有する特徴からクキバチ科の幼虫と考えられた。平成21年3月、ずい部がおがくず状に食害された枝が、剪定作業時に発見された。枝の内部からハチ目の蛹が見つかり、前年発見された幼虫が蛹化したものと考えられた。羽化した成虫は、国立科学博物館の篠原明彦博士によりオオバラクキバチ Hartigia agilis (Smith)と同定され、本州以南では記録されているが道内では未記録である。本種は、体長がメス12〜17mm、オス12mm。頭部が黒色で複眼内縁近くに2対の小黄白色紋をもち、オスでは顔面下半分は広く黄白色。腹部が黒色で、第2〜6背板両端後縁は白色等の特徴をもつとされているが、北海道から発見されたものは黒く、背板両端後縁の白色帯の一部が不明瞭である。
 本虫の対策は、一般に知られているバラクキバチ同様に、被害枝を除去することが最も重要である。

(花・野菜技術センター・空知農業改良普及センター北空知支所)

オオバラクキバチ幼虫 (花・野菜技術センター 橋本氏 原図)


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