北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成21年度新発生病害虫]

みつばの株枯病(新発生)


 平成19年8月に、知内町のみつば養成株(品種「柳川2号」)で、地際部が黒変し、やがて株が枯死する病害が発生した。発病株は維管束が褐変し、黒変した地際部表面には、淡橙色の分生子塊を生じた。病変部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌をみつばに接種すると原病徴が再現され、発病部から接種菌が再分離された。分離菌の大型分生子は、まっすぐ〜わずかに屈曲し、薄膜、主に3隔壁を有し、大きさは23.6〜55.3×3.4〜4.9μm、小型分生子は短いモノフィアライド先端に擬頭状に形成され、無色、単胞、楕円形で、大きさ6.3〜12.0×2.2〜4.0μmであった。培地上には直径7.7〜12.1μmの無色、円形の厚膜胞子を豊富に形成した。以上の形態的特徴より分離菌をFusarium oxysporum Schlecht-endahl:Fries、本病をミツバ株枯病と同定した。F. oxysporum は種内で作物種に対する病原性が異なる分化型(f.sp.)に分かれているが、ミツバ株枯病菌の分化型については混乱があり、白浜(1962)はf.sp.apii(海外ではセルリーに萎凋症状を起こす系統)であるとし、森田ら(1990)はみつばに特異的に病原性を示し、セルリーに病原性を示さない系統であるとした(f.sp.名は未提案)。分離菌をセルリーに接種した結果、病原性を示さず、分離菌の分化型は森田ら(1990)が報告したみつばに特異的に病原性を示す系統であった。

(道南農試・渡島農業改良普及センター渡島南部支所)

みつばの株枯病 (道南農試 三澤氏 原図)


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