北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成21年10月、江別市において、収穫期近いかぶ根部の出葉部周辺に直径1mm程度の小孔が多数認められた。これら小孔は、褐色線状の潜孔として根部内に入ると共に、一部は根部表皮下を蛇行する幅1.5mm程度の潜孔(もぐり痕)となった。当該ほ場を観察したところ、多数のアシグロハモグリバエ Liriomyza huidobrensis Blanchard 成虫が認められた。かぶの葉には同種成虫による食痕が白点として多数認められると共に、外葉の葉柄を主体に幼虫による潜葉痕が観察された。葉柄上の潜葉痕は出葉部に達していることから、根部の症状は葉柄から根部に侵入した幼虫の加害によるもので、出葉部周辺の小孔は、葉柄から根部への食入孔が外葉の離脱によって露出したものと考えられた。なお、本種による農作物の根部加害事例は、平成18年に大根で根部表面への加害が確認されている。 かぶの根部を食害する害虫にはキスジノミハムシやタネバエが知られる。アシグロハモグリバエによる被害は、出葉部周辺に多数の穴が認められ、根部内の潜孔が長いのに対し、他の2種による被害は土中に限られるので、識別可能である。 (病害虫防除所・中央農試・石狩農業改良普及センター江別分室) |
上:根部への食入孔、下:根部表皮下の潜孔痕 (中央農試 三宅氏 原図) |