北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成20年9月、富良野市で収穫期を迎えたハウス抑制作型メロン(品種「R113」)の株に萎れや黄化症状がみられ、一部に枯死する株もみられた。発症株については、維管束の褐変等は観察されず、つる割病や半身萎凋病ではないと考えられた。しかし、発症株の根を掘り起こしてみたところ、主根は激しく腐敗し、細根には0.3〜0.5mmの微小な黒点が埋没している症状がみられた。黒点部分を検鏡したところ、中から黒褐色の子のう胞子を一つだけ内包した子のうが多数放出された。病徴部から植松(1991)の方法により病原菌の分離を行ったところ、同一性状の糸状菌が分離され、培養菌体を園芸培土に混和してポットに詰め、メロンを栽培したところ地上部の萎れおよび根の黒点症状が再現され、接種菌と同一菌が再分離された。また、小宅ら(2004)のウリ類黒点根腐病菌同定用プライマーを用いてPCRを行ったところ、本菌に特異的な増幅産物が確認され、本菌をMonosporascus cannonballus Pollack & Ueckerと同定し、メロン黒点根腐病の発生を確認した。国内ではメロンの他、スイカ、キュウリについても本病の報告がある。本菌は土壌により伝染し、高温を好むため、栽培期間中の地温が高くなる抑制作型で発生が懸念される。土壌中に本菌の汚染があっても、その程度が軽度の場合、細根に微細な黒点を生じるのみで発病を見逃す可能性があるので注意する。 (上川農試・上川農業改良普及センター富良野支所) |
根の黒点症状 (上川農試 小松氏 原図) |