北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成21年7〜8月、道南農業試験場の施設栽培トマト「麗夏」と北斗市の一般ほ場2筆の「麗夏」および「りんか409」で葉かび病の発生が確認された。渡島支庁管内では抵抗性遺伝子Cf-4をもつ品種を侵すレースの存在が既に確認されている。「麗夏」および「りんか409」は抵抗性遺伝子の種類が公表されていないものの葉かび病抵抗性品種とされており、昨年まで葉かび病の発生がまったく認められていなかった。これらから新たなレースの出現が疑われた。 3ほ場の「麗夏」および「りんか409」から分離された4菌株を抵抗性遺伝子Cf-9を有する「桃太郎コルト」に接種したところ、いずれも発病が認められ、分離菌がCf-9をもつ品種を侵すレースであることが明らかになった。Cf-9を侵すレースはレース4.9、4.9.11の 2種類があり、今回の分離菌はこれらのいずれかに該当すると考えられる。道外では、既に両レースの発生が広く確認されているが、いずれも抵抗性品種導入からわずか数年で新レースが出現している。そのため、道内でCf-9を持つ抵抗性品種を導入している地域においても、今後、新レースの出現が予想される。 現在のところ我が国では、これらの新レースに抵抗性を示す市販品種はほとんどない。そのため、新レース発生地域においては薬剤防除が必要となるが、葉かび病菌のレースは薬剤感受性とは関係がないので、登録薬剤による防除が可能である。本病に対しては初期防除が重要となるので、ほ場観察を励行し薬剤防除のタイミングが遅れないようにする。 なお、同様の抵抗性遺伝子を持つと考えられているミニトマト「キャロル10」でも、葉かび病の発生が確認されている地域があるので注意が必要である。 (道南農試・渡島農業改良普及センター本所) |
トマトの葉かび病 (道南農試 安岡氏 原図) |