北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成21年度新発生病害虫]

秋まき小麦の眼紋病(耐性菌の出現)


 眼紋病は連作により多発し、倒伏すると甚大な被害をもたらすことから、薬剤散布による防除が行われており、現在は主にシプロジニル水和剤が使用されている。近年、本病にシプロジニル水和剤を散布しても防除効果が得られない実態が報告されており、平成18〜20年に上川農業改良普及センターで薬剤試験を行ったところ、シプロジニル水和剤の散布区でほとんど防除効果が認められず、感受性の低下が疑われた。そこで、道内のシプロジニル水和剤使用歴のある上川南部(美瑛町・上富良野町・中富良野町)、空知南部(岩見沢市・美唄市・南幌町・月形町)、十勝北部(音更町)、斜網地域(斜里町・大空町)で平成20〜21年に病原菌を分離し、計187菌株についてシプロジニル水和剤に対する感受性検定(Leroux,P. et al.(1988):Pestic Sci.)を行ったところ、上川南部では3町とも感受性の低下した菌が認められ、調査した127菌株中、耐性菌は6株、低感受性菌は43株であった。空知南部では南幌町以外で感受性の低下した菌が認められ、調査した49菌株中、耐性菌は1株、低感受性菌は6株であった。十勝北部(9菌株)および斜網地域(2菌株)では感受性菌のみが確認された。ほ場ごとの耐性菌の出現割合は顕著なものではないが、低感受性菌の割合が多いほ場も散見されることから、本病に対してシプロジニル水和剤の効果が低下していると感じられる場合には、使用を避ける必要があると考えられた。

(上川農試・上川農業改良普及センター大雪支所・中央農試・十勝農試・シンジェンタ ジャパン(株))

小麦の眼紋病 (上川農試 小松氏 原図)


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