北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成19年9月頃に、千歳市内のライラックで枝枯れ症状が認められた。翌平成20年春に同株が枯死したため切り倒したところ、樹根部近くに多数の穿孔とゾウムシ科幼虫、樹根部周囲(一部は樹皮内)にゾウムシ科成虫が確認された。幼虫は体長が7〜15mmで体色は乳白色、成虫は体長が16mmで黒色で体表に黄褐色の剛毛を生じる。穿孔の幅は5〜10mm、長さは長いもので10cm以上におよび、内部は粉末状の木くずに満たされていた。
捕獲成虫はオリーブアナアキゾウムシDyscerus perforatus (Roelofs) と同定された。本種はモクセイ科の木本を寄主とし、本州ではオリーブの重要害虫として知られるが、道内では発生が確認されていなかった。本種の生態は、成虫および幼虫で越冬し、産卵は4月から10月の長期にわたる。幼虫期は2ヶ月内外で木本の皮層や形成層で経て、その後に幹の材部に食入して蛹になってから1週間ほどで脱出するとされる。
(病害虫防除所・北見農試) |
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