北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成20年9月、由仁町の果樹栽培農家において、ぶどうの果実内部がウジ状の幼虫により食害を受ける被害が発生した。加害虫は、羽化成虫により、オウトウショウジョウバエDrosophila suzukii (Matsumura) と同定された。同様の食害は、果実が熟し始めた8月下旬頃から認められたようである。
本種の成虫は、体長約3mm弱、暗黄褐色。雄は後方に向かって多少とも暗色となり、翅頂近くに小黒紋を有す。雌の尾端にある産卵器の下縁には、鋸歯状突起が並ぶ。卵は乳白色、長径0.5mm内外で2本の糸状突起を伴う。幼虫は体長6mmに達し、白色のウジ状である。
本種はおうとう、ブルーベリー、きいちご、もも等の熟果に寄生することが知られている。また、ぶどうでの本種に対する登録薬剤はない。そのため、被害軽減のためには適期収穫を励行すると共に、次世代の発生源になる樹上に取り残された果実や被害果・不良果などは放置しないことが重要である。
(中央農試) |
被害果 |
加害幼虫 |