北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成20年7月、北斗市内のハウス栽培オクラで花弁および葉が褐変する病害が発生した。花弁は全体が褐変し、やがて脱落した。花弁が葉上に脱落すると葉身部に褐色水浸状の病斑を形成し、やがて葉柄に達し、葉身全体が萎れた。いずれも多湿条件下では病斑表面に淡褐色のカビが密生していた。病斑部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌をオクラに接種すると原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌は、PDA培地上で大きさ1〜1.5mmで中央が高く丸みを帯びた黒色の菌核を形成した。分生子柄は分岐し、先端にブドウの房状に分生子を形成した。分生子は無色〜淡褐色、卵形〜亜球形、表面は平滑で大きさは平均12.3×8.9μmであった。以上より分離菌をBotrytis cinerea Persoon:Fries、本病を灰色かび病と同定した。本病は、収穫後の果実を黒変させる市場病害として知られていたが、立毛中の花弁および葉にも発生することが明らかとなった。
(道南農試・渡島農業改良普及センター本所) |
葉の水浸状病斑 |