北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成20年度新発生病害虫]

にらの褐色葉枯病(新称)


 平成19年6月、知内町のにら養成株(品種「パワフル・グリーンベルト」)で葉枯性の病害が発生した。発病株は、葉身に長径3〜6pの淡褐色・紡錘形病斑を形成した。病斑ははじめ表面のみに生じるが後に裏面にまで達する。病斑が葉幅全体に拡がると、病斑部より先が淡褐色〜淡紫色に変色し枯れる。古い病斑は中央部に褐色の分生子を噴出する。病斑部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌をにらに接種すると原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌の分生子は、大きさ平均30.3×21.9μm(縦横比は1.4:1)で、分生子柄先端に単生し、褐色〜淡褐色、俵形で、横3、縦2〜3の隔壁を有し、中央の隔壁でやや強くくびれ、表面にはいぼ状突起を有していた。分生子柄は、褐色〜無色、幅は平均5.3μmで先端部が膨らんでいた。以上より分離菌をStemphylium botryosum Wallrothと同定した。本病は国内未報告の病害であるため、病名をにニラ褐色葉枯病(新称)とすることを提案した。

(道南農試・渡島農業改良普及センター渡島南部支所)

葉の病斑

ほ場での発病株


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