北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成19年度新発生病害虫]

くりのクリミガ(新寄主)


 平成18年9月下旬に、札幌市南区の果樹園2園地において収穫期のくり殻果内部を鱗翅目幼虫が食害する被害が発生した。被害果は、果皮にあいた孔から白色顆粒状の糞が排出され、後に幼虫が脱出した。幼虫は体長約20mmで体色は黄色がかった乳白色、頭部・前胸背板は赤褐色を呈する。脱出幼虫は長楕円形で扁平、堅固な茶褐色の繭を形成し、内部で幼虫(前蛹)態で越冬した。翌年夏季に羽化した成虫は体長1cm弱で、翅は白色と黒色の斑模様で翅端付近に暗色部と黒色の小斑を伴う。
 加害種は羽化成虫によりクリミガ Cydia kurokoi (Amsel)と同定された(盛岡市、奥俊夫博士同定)。本種は年1化でくりやカシワ属を寄主とする。本州における成虫の羽化盛期は9月上・中旬、ふ化幼虫のきゅう果(いが)への食入盛期は9月中・下旬とされている。冬期間の冷蔵を経た飼育条件下での成虫羽化期は7月下旬〜8月上旬だった。なお、本種に対する耕種的防除対策は、収穫期にくり果実を園地内に残さないこと、付着した繭の越冬場所となる落葉を除去すること、成虫羽化期のマルチ被覆による羽化成虫の産卵防止などがあげられる。

(病害虫防除所・石狩農業改良普及センター本所)


上:幼虫、下:成虫


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