北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成19年5月、羽幌町、遠別町および初山別村の露地アスパラガス栽培ほ場で、収穫中の若茎に原因不明の障害が発生した。症状はごく浅い条状の傷が縦に入るもので、曲がりや奇形を伴うものもあった。また一部には頭部の鱗片葉付近に深さ約0.5mm、長さ1〜3mm程度の陥没状の傷が認められた。若茎の被害は7月上旬の収穫終了時までみられ、出荷量の3%程度に相当すると考えられた。ほ場内にはカスミカメムシ科の一種が多数確認されたため、放飼試験を実施したところ吸汁が確認され同様の症状が再現された。本種は農業環境技術研究所の中谷氏によりツマグロアオカスミカメ
Apolygus spinolae (Meyer-Dür)と同定された。収穫後の茎葉伸長期においても同様の吸汁被害があり、主茎や側枝先端部の枯死、伸長不良、曲がりや奇形が発生し、さらには茎全体が枯死するものもみられた。なお被害茎率は16〜45%であったが、株養成や翌年の収量に対する影響は不明である。北海道における本種の被害はぶどうや菜豆で確認されているが、他にも寄生植物が多いとされている。
(上川農試・留萌農業改良普及センター本所) |
上:若茎の被害(左:条状の傷、中:曲がり、上左:陥没状の傷) |