北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成19年度新発生病害虫]

ねぎの葉枯病の黄色斑紋病斑(新症状)


 ネギ葉枯病は葉身部に楕円形〜紡錘形の褐色病斑(以下、褐色楕円形病斑)を形成する病害である。近年、北海道内のねぎ栽培地帯では、葉枯病発病株の中心葉に黄色斑紋症状が発生する事例が多発している。その原因究明のため、平成17年9月に北斗市内のねぎ栽培ほ場より採取した黄色斑紋症状から菌の分離を行ったところ、単一の糸状菌が分離された。また、同様に褐色楕円形病斑からも菌の分離を行い、単一の糸状菌を得た。両症状から分離した各1菌株の形態を観察したところ、両菌株とも分生子の大きさは平均38.6×19.5μm、縦横比は2.0、縦横に隔壁を有し、1〜3個の横隔壁でくびれていた。分生子柄の大きさは平均58.8×5.1μmで、先端部が膨らんでいた。以上のことから両菌株を Stemphylium vesicarium (Wallroth)E.Simmonsと同定した。接種試験の結果、両菌株ともねぎの中心葉に黄色斑紋症状を、外葉には褐色楕円形病斑を形成し、病斑部からは接種菌が再分離された。以上のことから、黄色斑紋症状がネギ葉枯病の一病徴であることが明らかとなった。本病斑は収穫期近くの中心葉にのみ発生し、9〜10月に最も発生が多くなる。病斑部を検鏡すると、病原菌の分生子が観察されるため比較的容易に診断できる。

(道南農試)


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