北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成18年8月、後志支庁管内真狩村のだいこんで、収穫期の根の上部表皮下に細い溝状の潜り痕が認められた。被害部は幅1.5mm程度で、表皮を残してゆるやかに蛇行する潜り痕が10cm近く続いた。平成19年9月には、千歳市のだいこんでも同様の症状が認められ、食害部の末端から摘出された体長1.5mm程度の囲蛹の形状から、加害種はアシグロハモグリバエ
Liriomyza huidobrensis
Blanchardと同定された。被害の顕在化した根の内部には幼虫が残っていることはほとんどないが、その後真狩村で採取されただいこんからも本種が複数個体脱出・蛹化したことから、同様の症状はアシグロハモグリバエによるものであることが確認された。本種の通常の加害部位は葉であるが、高密度下では偶発的に地上に露出した根の上部に産卵・潜孔するものと思われる。 だいこん根部が線状に食害される被害は他の害虫によっても生じるが、本種被害は潜り痕の長さが数cmに達し、幅は1.5mm程度と安定していること、表皮が残されていること、被害部が地上部に限られることが特徴である。一方、タネバエによる被害は食害の幅が2mm程度と太く表皮が残らないことが多く、キスジトビハムシでは食害部の長さが短く被害が土中に限られることで識別が可能である。被害発生ほ場のだいこんは葉に径1mm程度の成虫食痕・産卵痕が多数認められたが、幼虫による潜葉痕は少なかった。 (病害虫防除所・後志農業改良普及センター本所・石狩農業改良普及センター本所) |