北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成19年5月、北斗市内のハウス栽培はくさい(品種「春笑」)で収穫期に株の地際が軟化・腐敗する症状が発生した。発病株の外葉は激しく腐敗し、結球部には褐色楕円形の水浸状病斑が形成されていた。これらの部位からは単一の糸状菌が分離された。分離菌を接種した土壌にはくさい苗を定植したところ病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌の菌糸幅は平均7.9μm、菌糸はほぼ直角に分岐し、分岐部はくびれ、分岐部近くに隔壁を生じるなど形態的特徴は
Rhizoctonia solani
Kühnと一致した。菌糸融合群(AG)はAG2-1、培養型はUであった。以上のことから本病を
Rhizoctonia solani AG2-1(培養型U)によるはくさいのしり腐病と同定した。本病の発病部を検鏡すると病原菌の菌糸が観察できるため、診断は容易である。本病原菌は、土壌中では菌核、植物残さ中では菌糸として生存し、土壌伝染する。菌核は土壌中で2〜3年間生存する。
(道南農試) |