北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成16年5月、芽室町の農家ほ場で栽培されているぎょうじゃにんにくに、全身がかすり状に退色する症状が発生した。このような症状はほ場全面に認められ、葉の表面には高密度にクローバービラハダニ(旧名クロバーハダニ)Bryobia
praetiosa Kochが寄生していた(中央農試:中尾同定)。同様の被害は平成17年5月および平成18年5月に芽室町の十勝農試場内のぎょうじゃにんにくほ場でも発生した。本種は寄主範囲がイネ科植物やクローバ、いちごなどと幅広いが、活発に活動する時期は通常、融雪直後から5月頃までの早春および9月以降の晩秋に限られるため、一般的な農作物には大きな被害を与えない。しかし、ぎょうじゃにんにくは本種の活動時期に一致して早春に展葉すること、さらに多年草で栽培ほ場の耕起も行われず、本種の越冬密度が維持されやすいことも重なって、被害が発生しやすいものと推測される。なお、いずれの事例も6月以降は本種が夏眠に入ったため、寄生密度は急激に減少した。収穫株では収穫物の品質が低下する被害があるのに対して、養成株では加害が一過性であるため養分蓄積への実害は少ないと考えられる。
(十勝農試) |