北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成18年度新発生病害虫]

食用ゆりのキンケクチブトゾウムシ(新寄主)


 平成16年11月、美瑛町の農家が収穫した食用ゆりの鱗球外面に害虫によると思われる褐変した太い線状の食痕および付近の土壌からゾウムシ科幼虫が確認された。褐変した食痕は外観上非常に目立つことから加害された鱗球はすべて廃棄となり、被害程度は著しかった。被害球率は約1%で、被害はほ場の一部に局発していた。平成17年10月末に再調査を行ったところ、同様の被害球および多数のゾウムシ科幼虫が採集された。鱗球を餌植物とした飼育調査の結果、ほ場で観察された食痕と同じ被害症状が確認された。12月以後に成虫が順次羽化し、本加害種はキンケクチブトゾウムシOtiorhynchus sulcatus Fabricius と同定された。本種は、北海道において平成5年に札幌市のシクラメンで発生が初めて確認され、以後発生地域は拡大傾向にある。これまで花き類や樹木での被害が報告されているが、食用の農作物では初めての被害記録である。発生ほ場での幼虫密度は全体に高く、高密度に分布するようになった原因は明らかではない。なお、近隣には食用ゆりのほかににんじん等の根菜類が作付けされているが、現在のところ被害は確認されていない。

(上川農試、上川農業改良普及センター大雪支所)

上:採集された幼虫、下:被害鱗球


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