北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成18年度新発生病害虫]

いちごの葉縁退緑病(新発生)


 平成17年12月、南幌町の加温促成栽培のいちごで、葉の小葉化と葉縁部の退緑を伴い、株全体が叢生し生育不良となる症状が発生した。葉は全体が健全なものに比較して著しく小葉化し、葉縁部は黄緑色の縁取りをしたように退緑する。果実では着色がやや劣る以外に顕著な症状は示していない。発病株の葉柄や葉脈基部組織を用いてPCR法により同定を行ったところ、”Candidatus Phlomobacter fragaria”Bacterium-like organism(BLO)]の特異的プライマ−セットFra4/Fra5およびPfr1/Pfr4で陽性を示したことから、本病原菌による葉縁退緑病と同定された(中央農業総合研究センタ−、田中穣氏同定)。本病は平成16年2月に愛媛県で我が国で初めて発生が確認されたが、それ以外ではフランスで確認されているのみである。そのため、伝染様式や媒介虫などの生態的知見は皆無に等しく、防除対策もないのが現状である。南幌町では同時期に定植したハウス4棟全てで発生が認められ、栽培中の「章姫」(3.5%)および「紅ほっぺ」(13.8%)でともに発生していた。しかし、その後4棟とも新たな発病株の発生はなく、平成18年に隣接するハウスで栽培された夏秋どり「サマ−ルビ−」や露地栽培の「宝交早生」での発生は認められなかった。また、平成18年2〜3月に由仁町と岩見沢市で加温促成栽培の「章姫」について調査を行ったが、本病の発生は認められなかった。

(中央農試・空知農業改良普及センタ−南西部支所)

 


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