北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成17年5月〜6月に訓子府町、端野町のたまねぎ圃場で、定植2〜3週間後の苗に、根が少なくなり苗が活着せず、立枯症状を示す株が認められた。これらの株では、茎盤部があめ色となって腐敗しており、重症のものは枯死していた。
茎盤部から病原菌分離を行ったところ、高頻度でFusarium属菌が分離された。得られた分離菌16菌株の培養寒天片をたまねぎ鱗片に接種したところ、強い病原性が認められた。また、分離菌を滅菌土に混和(土壌接種)したまねぎ種子を播種したところ、茎盤部褐変、立枯の病徴が再現され、接種菌が再分離された。さらに、67日間育苗したたまねぎの苗の根に有傷接種し滅菌土に移植したところ、茎盤部褐変、立枯の病徴が再現され、接種菌が再分離された。 分離菌は、培地色がカーマイン赤、スポロドキアが淡オレンジ、大型分生子は細長く針状で細胞壁は薄く、基脚細胞の形態がV字型であった。また、気生分生子をまれに形成し、分生子柄が分枝、モノフィアライドで、厚膜胞子は形成しなかった。これらの特徴からFusarium avenaceum (Fries) Saccardoと同定した。F. avenaceumによるたまねぎの病害は記載がなく、たまねぎ立枯病(仮称)としたい。 (北見農試・北植防) |
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