北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成15年11月、長沼町で収穫したヤーコンの塊根に、腐敗症状を示すものが多数認められた。
発病株はおもに塊根の先端から黒褐色・水浸状に腐敗し、軽症株では根の先端のみ、重症株では塊根の全体に及ぶ。
腐敗部からは Pythium 属菌が高率に分離され、分離菌をヤーコンの根に接種したところ病徴が再現された。 分離菌の生育温度は15℃から35℃、最適温度は30℃だった。 胞子のうは紡錘から球状で乳頭突起を持ち増殖性、蔵卵器は表面平滑で直径平均32.8μm、 卵胞子は非充満で直径平均27.8μmであり、これらの特徴は P. oedochilum に類似していた。 核リボゾームDNAのITS領域およびミトコンドリアのシトクロームオキシダーゼII遺伝子の塩基配列を調べ、 データベースに登録されている Pythium 属菌と比較した結果、 P. oedochilum と最も近かった。 以上の結果から、本菌は P. oedochilum Drechslerであると同定した。 本菌によるヤーコンの病害は報告されていないことから、本病をヤーコン根腐病(新称)と提案した。 (ホクレン農総研・岐阜大流域研セ・病害虫防除所) |
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