北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成16年度新発生病害虫]

トルコギキョウのえそ斑点病(新発生)


  平成15年7月、三石町でトルコギキョウの葉に輪紋状の退緑病斑を形成する症状が発生した。上葉にはモザイクも認められ、生育は不良となった。発生ほ場ではミカンキイロアザミウマの寄生が多数確認された。

  トマト黄化えそウイルス(TSWV)およびインパチェンスネクロティックスポットウイルス(INSV)の抗血清(いずれも日本植物防疫協会製)を用いてエライザ法で検定した結果、INSV抗血清と強く反応が認められた。また、INSV特異検出プライマーを用いて、遺伝子診断を行った結果、特異バンドの増幅が認められ、その遺伝子配列の相同性はNagano and Tsuda(2003)の報告したINSVのNタンパク領域の一 部と塩基配列で98%、アミノ酸配列で99%と高く、病原ウイルスはINSVであること が明らかとなった。

  罹病葉の汁液をトルコギキョウに接種すると上葉に輪紋状の病斑が再現された。 また、Nicotiana benthamiana、 N.clevelandiiでは接種葉に退緑斑点、上葉に退緑 斑点やえそ斑点を生じた。

  以上から、INSV(Impatiens necrotic spot virus)によるトルコギキョウえそ斑紋病 の発生が確認された。また、INSVによる病害も北海道で初めての確認である。周辺 雑草のハコベおよびイヌガラシもINSVを保毒しており、注意が必要である。 その他INSVの詳細については平成16年度病害虫発生予察情報 特殊報第1号を 参照のこと。

                

(花野菜技術センター・中央農試)


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