北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成16年6月、帯広市でハウス栽培のオクラに萎凋症状が認められた。オクラの導管部は褐変し、高頻度で糸状菌が分離された。分離菌の分生子を用いて接種試験を行ったところ、オクラの生育不良が認められ、接種菌が再分離された。 分離菌は、PDA培地上ではじめ白い綿毛状の菌叢を拡げ、やがて中心部から黒変しビロード状を呈した。分生子柄には無色で3〜5本のフィアライドが輪生し、その先端から2.0〜3.0μm×3.8〜5.0μmの分生子が多数形成された。やがて培地上に粒子状の微小菌核を形成した。暗色休眠菌糸や厚膜胞子は形成しなかった。生育適温は20℃前後であり、30℃でも生育したことから、Verticillium dahliae Klebahnと同定した。 また、トマト(品種:「ポンテローザ」)、なす「千両2号」、ピーマン「エース」、 だい こん「若駒」、はくさい「耐病60日」に接種試験を行ったところ、トマトおよびなすに 萎凋症状が、だいこんの根部維管束に黒変が認められ、それぞれ接種菌が再分 離された。よって、本菌はトマト系であった。オクラはV.dahliaeの好適な寄主植物 として知られているが、道内一般ほ場での発生は初めてである。 (十勝農試・十勝中部普及センター) |