北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成15年9月、士別市でかぶ(品種:「早生大蕪」)に葉が黄化して生育不良となる症状が発生した。はじめ下葉から黄化症状が現れ、退緑斑点や輪紋も生じ、上葉ではモザイク症状が現れた。やがて病徴はえそ輪紋となり、葉脈にもえそ条斑が形成された。発生ほ場ではアブラムシの寄生が確認された。 ソラマメウイルトウイルス(BBWV)およびキュウリモザイクウイルス(CMV)の抗血清(いずれも日本植物防疫協会製)を用いてエライザ法で検定した結果、BBWVおよびCMVともに抗血清と強く反応が認められ、同症状は両ウイルスの重複感染によって起こったと考えられる。 かぶ(品種:「早生大蕪」)にBBWVを接種すると、葉の黄化や退緑斑点のほ か、葉脈のえそが発生し、自然発生株に類似した症状が再現された。CMVによ るモザイク病も葉にえそ条斑を形成するとされ、症状でBBWVとの区別は難しい。 BBWVはかぶのほか、Chenopodium amaranticolorでは接種葉に局部斑点、 上葉に退緑斑点を生じ、ペチュニアでは上葉にモザイク、Nicotiana benthamianaには上葉に退緑輪紋、インゲンマメ、ソラマメでは上葉にえそを生じた。 以上から、BBWV(Broad bean wilt virus)によるかぶのウイルス病の発生を確認た。BBWVは寄主範囲が広く、多くの作物や雑草に感染する。周辺雑草(アカザ 等)からウイルスを保毒したアブラムシが飛来してウイルスを伝搬(非永続型)する が、大かぶの品種では抵抗性がないため、雑草処理とアブラムシの防除が重要である。 (花・野菜技術センター) |