北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成16年7月、豊頃町でとうもろこし(スイートコーン)の葉鞘に褐色の大型斑点を生じ、下位葉から枯凋する症状が認められた。発生時期は絹糸抽出期頃で、発病株率は70%以上であったが立ち枯れ症状には至らなかった。発生ほ場は水はけが悪く、また数年間連作をしていた。 褐変部からは糸状菌が高率に分離された。分離菌をPDA培地上で25℃、2日間培養したときの菌糸幅、側枝の分岐角度や基部のくびれ、分岐基部近くに隔壁をもつなどの菌糸の形態的特徴から、分離菌はRhizoctonia属菌と考えられた。本菌の含菌寒天をスイートコーンの葉鞘に挟み込んで接種したところ、1週間後に葉 鞘に褐変が再現された。また、本菌の含菌大麦粒を地際部に埋め込んだところ、 最下位葉の枯死と地際茎部に暗緑色、不定形の斑紋が現れ、やがて褐変した。 いずれの接種試験とも病斑部からは接種菌が再分離された。 本病菌と既知の R.solani 菌糸融合群(AG)標準菌株と対峙培養したところ、 AG1の菌株と高頻度で菌糸融合した。さらに菌核の性状などの培養形態がAG 1内 のサブグループIAと一致したことから、本菌はR. solani AG1-IA(イネ紋枯病系) と同定された。本菌によるとうもろこしの紋枯病の発生は道内で初めてである。 (十勝農試・十勝東部普及センター・中央農試・北大院農) |