北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成16年度新発生病害虫]

てんさい・レタスのアシグロハモグリバエ(新寄主)


 平成16年10月に、胆振支庁管内2町のてんさいに、ハモグリバエの幼虫による激しい潜葉被害が認められた。 発生面積は概算で250ha程度で、発生は広範囲のほ場で認められた。 多発ほ場では寄生株率が100%に達し、株の中・下位葉の葉脈沿いを主体にした潜葉痕(もぐり痕)により、 葉全体が萎凋枯死する株も認められた。 このような被害の発生に先立ち、9月中旬にはてんさいの葉に成虫による食痕が多数認められた。 また、同年9月には、十勝支庁管内1町の露地栽培レタス(発生面積:12a)において、ハモグリバエの幼虫による潜葉被害が認められた。

 これらハモグリバエは、作物上で採集された成虫や羽化成虫により、アシグロハモグリバエ Liriomyza huidobrensis Blanchardと同定された。 本種は南アメリカ原産の広食性の侵入害虫で、平成13年に胆振支庁管内の花・野菜農家で発生が確認されている (平成15年度の発生にかんがみ注意すべき病害虫)。

 てんさい、レタスは国外および道内での発生状況から共に好適な寄主作物と考えられる。 また、てんさいにはこれまでハモグリバエ類の加害事例はなく、類似被害としては、 本種幼虫(体長2mm)と比較して大型(体長5mm)の幼虫が袋状の潜葉痕を残すテンサイモグリハナバエだけがあげられる。 本種はいずれの発生地でも露地での越冬は困難と考えられる。

(中央農試・十勝農試)


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