北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
本病は北海道で古くから発生している病害であるが、本病菌の子のう殻が確認できず,病原菌の同定はなされていなかった。平成15年に本病の子のう殻の形成株を認めたため、同定を行った。 本病は葉に白色で粉状の病斑を形成する症状であるが、これら病斑を放置しておくと、白色病斑の中にまれに黒色の小粒点(閉子のう殻)が生ずる。 閉子のう殻は群生または単生し、黒色球形ないし偏球形で、大きさは 82.6〜131μmであった。付属糸は閉子のう殻の下部から生じ、波状、褐色で 隔膜を有し、先端にかけて淡色となり、長さは82〜308μmであった。子のうは閉子のう殻内に4〜6個生じ、有柄で卵形〜楕円形、大きさは44.1〜66.2×28.1〜44.3μmであった。子のう胞子は子のう内に4〜5個生じ、楕円形〜卵 形で 黄色、大きさは 20.4〜21.4×10.7〜12.5μmであった。また、分生子柄は 単生し、単鎖の分生子 を生じた。 分生子懸濁液をデルフィニウム(品種「フ ルカフリーデン」)に接種し、白色で粉状の 病斑形成も再現された。 以上のことから、うどんこ病の病原菌を Erysiphe aquilegiae de Candolle var. ranunculi (Greville) Zheng & Chenと同 定した。 (花・野菜技術センター) |