北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成15年度新発生病害虫]

菜豆の苗立枯病(仮称)


  近年、菜豆栽培地域において種子の不発芽や発芽後の苗立枯症状などが発生している。不発芽種子から数種のPythium 属菌が分離され、形態・生理的特徴およびRFLP(制限酵素断片長多系)などの分子生物学的手法を用いて同定した結果、これらは
Pythium myriotylum
Drechsler、P. spinosum Sawada、P. ultimum Trow var. ultimumP. mamillatum Meurs、P. irregulare Buismanであることが判明した。
 
   上記5種のPythium 属菌は菜豆(品種「大正金時」)に対して病原性を示した。以上より本症状をPythium属菌によるものと判断した。

  さらに、上記のPythium 属菌のうちP.irregulare を除く4種について、下記の5品種 に対する病原性を比較した。その結果、P.myriotylum P.spinosum の病原性は「姫 手亡」、「虎豆」「大正金時」に対して強く、「北海金時」、「福勝」には弱かった。P.ultimum var.ultimum の病原性はいずれの品種に対しても強く、P.mamillatum の 病原性はいずれの品種に対しても弱かった。

  また、これら4種 Pythium 属菌はいずれ も、えんどう、かぼちゃ、大豆、だいこん、 たまねぎ、とうもろこし、てんさいに寄生性を示した。 なお、本病に登録があるチウラ ム水和剤Fの2%種子塗抹処理は防除効果が確認されている。

(十勝農試・北大院農・北植防)

 


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