北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成14年度新発生病害虫]

菜豆のケブカチチュウワタムシ(新発生)


発生時期
平成14年7月
 
発生場所
知内町
 
発生経過
平成14年7月下旬、知内町の家庭菜園で菜豆の生育不良株が見られ、被害の激しい株では枯死した。株を掘りあげたところ、地中の主根には薄いワックスに覆われた淡褐色・球形のアブラムシ 、ケブカチチュウワタムシSmynthurodes betae Westwoodの大きなコロニーが、多数のアメイロケアリLasius umbratus とともに見つかった。多くは無翅虫と幼虫であったが、少数の有翅虫も混在した。

特徴
本種は世界的に分布し、キク科・マメ科・ナス科など多くの双子葉類作物根部に寄生する。国内では1981年に、盛岡市の温室栽培の大豆で見つかったのが初発見である(奥・宮原、1982)。体長約2mmで卵球型、体表は微細な毛で覆われ、角状管はない。触角は体長の約1/4と短かく、第2節が長くて第3節とほぼ同長であることが特徴である。本種は、地中海近辺を原産地とし、ピスタチオを一次寄主とする移住性の種類である。したがって、国内の個体群は不完全生活環であるはずで、寒冷地での越冬は困難と思われる。

(病害虫防除所・道南農試・渡島南部普及センター)


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