北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成13年度新発生病害虫]
しいたけのムラサキアツバ(新寄主)
-
発生時期
- 平成12年9月
- 発生場所
- 上士幌町
- 被害の様相
- ビニルハウス内で栽培・収穫された原木しいたけに、鱗翅目幼虫の被害が発生した。被害子実体(きのこ)および加害虫は主に収穫後の選別・パッキング時に発見され、子実体は表面を削り取るように食害されていた。
- 特徴
- 幼虫は飼育条件下でも子実体を好んで摂食し、蛹化に到った。羽化成虫から加害種はムラサキアツバDiomea cremata (Butler)と同定された(道南農試、鳥倉氏)。
老齢幼虫は体長30mm程度のイモムシで、褐色〜暗褐色の地色に白色の不規則な模様を散生するが、個体によっては白色部が優占する(参考:ヒメムラサキクチバ、山本(1965)、保育社)。成虫は中型のヤガで、上翅は藍色がかった黒色である。本種は年二世代程度を経過するとされており、平成13年には7月から10月にかけて断続的に加害虫が観察された。本種は、これまで切り株や倒木に生じるカワラタケ、シュタケなどの堅いきのこで報告されているが、しいたけに対する加害は知られていない。
発生地では、ほだ木浸水処理後15日以内にあたる主要収穫期の子実体では被害が低く、その収穫期から1ヵ月程度を経過した頃の二次的に出芽した子実体に被害が多いとのことである。おそらく、産卵は収穫期〜収穫後になされ、孵化幼虫は収穫残渣や二次出芽の子実体を摂食しているのであろう。
(北見農試)
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