北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成13年度新発生病害虫]
ねぎの菌糸腐敗病(新称)
-
発生時期
- 平成10年3月
- 発生場所
- 大野町
- 被害の様相
- ビニルハウス栽培の簡易軟白ねぎに葉鞘部と葉身襟部が腐敗するわが国で未記載の病害が発生した。はじめ暗緑色水浸状の小さな病斑が、急速に拡大して暗灰褐色の大型病斑となり、その周囲に白色〜淡緑色の菌糸が密生する。病斑中央部には灰褐色の分生子が形成される。罹病部にはまれに直径2〜7mm程度、黒色、類球形で表面に凸凹を有する菌核が形成される。さらに、葉鞘部外葉の腐敗により内葉が突出する胴割れ症状を呈する。
- 特徴
- 胴割れ症状は小菌核腐敗病や白かび腐敗病でも生じるが、本病では罹病した葉鞘の内側にも白色綿毛状の菌糸が密生する点で他の病害と区別できる。また、多湿条件下の地表面や地際部では白色〜淡緑色の綿毛状菌糸が密生する。罹病部からPSA培地上で初め白色のち灰緑色で気中菌糸の多い綿毛状の菌叢となる糸状菌が分離された。本菌はたまねぎ、ねぎ、にんにく、にら、リーキに寄生性を有し、培養および形態上の特徴からBotrytis byssoidea Walkerと同定された。同菌によるたまねぎの病害に準じて、本病害をねぎの菌糸腐敗病と呼ぶことを提案した。本菌は2〜30℃で生育し、生育適温は20〜25℃であるが、発病は低温多湿となる晩秋から春先に、雨水や融雪水が流入したビニルハウスなどで目立つ。現在、道内での発生は大野町のほか函館市、上磯町、伊達市、紋別市で確認されている。
(上川農試・道南農試)
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