北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成11年度新発生病害虫]

ヤーコンの半身萎凋病(新称)



症状写真
発生時期、場所
平成8年9月札幌市、平成10年8月帯広市
被害の様相
一般圃場で栽培中のヤーコンに、葉がしおれて黄化し、後に枯れ上がる症状が発生した。
発生圃場では、本症状が株の全体および片側のみに顕著に現れているものがあり、茎を切断すると維管束が黒褐変していた。
帯広市では、維管束の黒褐変が食用部の塊根にまで及んでいた。
病原体の特徴
黒褐変した茎や塊根の維管束からはVerticillium 属菌が高頻度に分離された。
枠圃場に2週間栽培したヤーコンの株元に、分離菌の分生子様菌体を潅注接種したところ、接種45日後には葉のしおれや黄化などの原病徴が再現された。
さらに接種後約5カ月後には、本菌を接種したヤーコンの草丈は無接種に比較して約20〜30%低くなり、収穫した塊根の総重量も約20〜30%減収した。
茎や塊根の維管束は黒褐変しており、この維管束組織からは接種菌が高頻度に分離された。
分離菌のPDAでの菌叢ははじめ白色を呈し、後に中心部から徐々に黒色となった。
菌叢の表面には基部細胞が無色で、主に3〜5本のフィアライドを数段にわたって車軸状に輪生する分生子柄を形成した。
フィアライドの先端には分生子を多数形成し、集合して擬頭状を呈した。
分生子は無色、単胞、楕円形または円筒形で、大きさは3.9〜7.2(平均5.6)×2.1〜4.6(同3.0)μmであった。
培地中には黒色でほぼ球形の緊密な微小菌核を多数形成し、暗色休眠胞子や厚膜胞子は形成しなかった。
生育適温は22.5〜25℃で、30℃でも生育した。
また、Howell の培地で培養すると菌叢周辺の培地が顕著に褐変したことから、ポリオキシフェノールオキシダーゼ活性を有すると判断できた。

以上のことから、分離菌はV. dahliae と同定された。

本菌によるヤーコンの病害は未報告であることから、病名を半身萎凋病(新称)とする。
(花・野菜技術センター)



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