北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成11年度新発生病害虫]

いちごの炭そ病(新発生)



症状写真
発生時期
平成10年10月
発生場所
士幌町
被害の様相
ハウスで栽培中のいちご苗「女峰」で葉枯性の病害が発生した。
葉では黒褐色の病斑を多数形成し破けやすく、葉柄では、褐色から黒色のやや陥没した紡錘形の小病斑を形成していた。
また重症のものでは病斑が葉柄を取り巻きその先の部位が枯死する症状が認められた。
病原体の特徴
被害部位から常法により病原菌を分離した結果、PDA上で初め白色のちに桃色を呈する糸状菌が高率に分離された。
PDA上に形成した分生胞子を健全株に噴霧接種すると、、葉柄、果実に病原性を示し、自然発病株と同様の病徴が再現された。
本菌は、生育適温が24℃であり、比較的菌糸伸長が遅く、病斑上およびPDA培地上で分生子層と、無色単胞で紡錘形の分生胞子(8.8〜17.5×2.5〜5μm、平均11.9×3.3μm、PDA上)を多数形成した。
分生胞子をスライド培養すると、黒褐色で棍棒状の付着器を容易に形成した。
また、病斑上にはまれに剛毛が観察された。

以上のことから、本菌はColletotrichum acutatum Simmonds ex Simmonds と同定され、長崎、岩手、栃木、静岡、佐賀、福島県ですでに報告されているいちご炭そ病菌であることが明らかになってきた。
今後、北海道においても他作物での発生動向に注意が必要である。
(十勝農試)



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