北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成11年度新発生病害虫]

きゅうりの果実腐敗病(新称)




症状写真
発生時期
平成8年頃
発生場所
北海道深川市
被害の様相
輸送中のきゅうり果実が腐敗する症状が発生した。
腐敗は果実の一部が水浸状となり、濃緑色を呈してくぼみ、病斑部は白色から淡桃色の菌叢に覆われた。
病原体の特徴
病斑部からFuzarium 属菌が高率に分離され、単胞分離後、きゅうり果実に接種したところ、同様の腐敗症状が再現された。
本分離菌はPDA培地上で、はじめ白〜淡桃色、のちに黄褐色から褐色の菌叢を呈した。
培地の色調ははじめ淡桃色から桃色で、のちに淡褐色から暗褐色となった。カーネーションリーフ寒天培地上でオレンジ色のスポロドキアが形成された。
大型分生子は紡錘形またはわずかに湾曲し、主に3〜5隔膜、基部細胞に突起がみられ、分生子柄上のポリフィアライド、あるいはモノフィアライドから形成された。
厚膜胞子の形成は認められたが、小型分生子の形成は確認されなかった。

以上から病原菌はBooth and Sutton(1984)によるFusarium pallidoroseum (Cooke)Sacc.と考えられた。

本邦では本病菌によるきゅうり果実の病害は未報告であるので、病名をキュウリ果実腐敗病(新称)としたい。
(花・野菜技術センター)



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