北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成11年度新発生病害虫]

たまねぎの苗立枯病(病原菌の追加)




症状写真
発生時期
平成11年4月
発生場所
留辺蘂町と常呂町のたまねぎ育成中のハウス
被害の様相
1〜2葉期の苗が地際から倒伏、あるいは外葉から枯死する。
症状は5〜10cmのスポット状に発生し、発病個体の根は褐変腐敗あるいは消失していた。
病原体の特徴
腐敗した根から分離されたPythium 属菌の土壌接種により病徴が再現されたが、常呂分離株病原性は留辺蘂分離株に比べ弱かった。
両者ともCMA培地上で気中菌糸が少ない白色の菌叢を形成し、25℃での菌糸伸長速度は25mm/日と速く、球状の菌糸のふくらみおよび有性器官を形成した。
留辺蘂分離株の造卵器は間性でまれに頂生し、突起を持つものも観察された。
大きさは平均18.5μmで未充満の卵胞子(大きさ平均13.5μm、細胞壁の厚さ1μm)を有した。
造精器は同菌糸性であった。

以上よりP.irregulare と同定されるがさらに検討を要する。

常呂分離株は、造卵器の形態、卵胞子の細胞壁の厚さなどの点で明らかに異なり別種と考えられた。
本邦ではPythium 属菌による苗立枯病は未報告であるため病原菌の追加を提案する。
(北見農試)


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