北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成8年頃から深川市、滝川市などでコスモスの葉に白斑症状を示す病害が発生しました。病徴ははじめ葉に淡黄色の小斑点が形成され、のちに円形で3〜5mmの白色病斑となる。病斑は融合し、葉全体を覆い、やがて葉が褐色に腐敗・枯死する。発生は7月上〜中旬から認められる。白色病斑上には2種の異なる分生子の形成が認められ、針状で単胞の分生子(24.4〜54.9×1.7〜3.0μm)およびソーセージ形で単胞の分生子(13.6〜21.5×2.8〜4.7μm)が形成される。ソーセージ形分生子の懸濁液をコスモスに噴霧接種すると白斑症状が再現された。さらに褐色病斑組織内に厚膜胞子が埋在して形成され、露出せず、淡黄色〜淡褐色、球形〜亜球形、大きさは10.9〜14.0×10.1〜12.8μmで、厚さ1.9〜3.5μmのゼラチン質の膜に包まれた胞子が認められる。胞子の発芽は確認されていない。
以上の特徴から病原菌はEntyloma sp.と同定された。本病菌によるコスモスの病害は未報告であることから病名を白斑病(新称)とする。