北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成10年度新発生病害虫]

ごぼうの黒条病(病原菌の同定)


ごぼう黒条病  ごぼうの黒条病は糸状菌の一種に起因する病害として報告されていますが、その菌種は未同定であったため、病原菌の同定を行いました。
 罹病した茎葉から得られた病原菌14菌株について検討しました。本病菌の麦芽エキス培地での菌叢は白色〜クリーム色で、強靱なマット状を呈します。菌糸の隔膜部にはクランプが認められ、菌糸の先端に膨らんだ細胞が形成され、これらにもクランプが認められます。半月形〜洋ナシ形の射出胞子が多数形成され、その大きさの平均は11.6〜16.7×8.0〜11.9μmであった。射出胞子をスライドグラス上で発芽させるとひだ状の付着器が形成されます。球形〜亜球形の厚膜胞子の形成はわずかに形成する菌株が認められました。また、培養中に酵母状の分生子を形成する一部菌株が認められました。
これら形態的特徴から、本病菌はItersonilia 属菌であると考えられた。さらに本病原菌はごぼうのほか、きくの花弁およびアーチチョークについては発病が確認されましたが、パースニップに病原性はありませんでした。以上のことから、本病菌はItersonilia perplexans Derxと同定されました。










(花野菜技術センタ−・十勝農試)



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