北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成10年度新発生病害虫]
ミカンキイロアザミウマによるトマトおよびさやえんどうの白ぶくれ症状(新被害)ならびにねぎのかすり状斑点(新寄主)
平成10年7月、道南農試のハウス栽培トマト「ハウス桃太郎」の果実に白ぶくれ症状が多発しました。このような症状は、在来種であるヒラズハナアザミウマによる被害として従来からよく知られていますが、被害株にはミカンキイロアザミウマ(Flankliniella occidentalis Pergande)がきわめて高密度に寄生していました。さらに、同じく7月、道南農試のハウス栽培ねぎ「元蔵」でも葉にアザミウマによる白いかすり状斑点が多発しました。本症状についても在来種であるネギアザミウマによる被害として知られていますが、被害部位からはミカンキイロアザミウマが確認され、7月下旬以後は激発状態となりました。
本種によるトマトの白ぶくれ症状は本州以南において既に発生していますが、ねぎでの被害はほとんど報告されていません。本種は高温期には急激に密度が増加することから、トマトでは白ぶくれ症状の発生程度が高くなります。また、ねぎでは、ネギアザミウマとは異なり、葉の上部から被害が発生する特徴があり、苗での被害も危惧されます。平成10年9〜10月に渡島・檜山管内で行った巡回調査によると、渡島北部地方を除く広範囲に本種が発生している実態が明らかにされ、農家ハウス栽培トマトおよびねぎに同じ被害症状が確認されました。さやえんどう「にむら」でも本種による白ぶくれ症状が確認されています。本種はきわめて多くの作物に寄生し、トマト黄化えそウイルスも媒介することなどから、今後厳重な警戒が必要です。
(道南農試・花野菜技術センタ−)
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