北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成10年度新発生病害虫]

ねぎの白かび腐敗病(新発生)


白かび腐敗病  平成10年3月および5月に大野町のハウス栽培ねぎに、北海道ではまだ発生をみていなかったボトリチス属菌による病害が発生しました。
 3月に発生した農家では、越冬した生育中期のねぎの生育が不揃いとなり、枯死葉が多く、特にハウス側面の3畦ほどに枯死を含む重症株が目立ちました。発病株は葉身に径5mm程度の白斑が散見され、葉鞘部が外葉から淡褐色水浸状に腐敗し、葉先から枯れ込みがみられます。重症株では葉鞘の外葉が腐敗するため、胴割れ症状を呈して内葉が突出し、葉鞘の内側には灰白色の菌糸が密生しており、枯死葉には多数の分生子とわずかに菌核が認められました。
 また、5月には別の農家で、定植直前の苗の約20%の苗で、葉鞘部が淡褐色水浸状でやや凸凹となり、葉鞘の内側には盛り上がった灰白色の菌糸塊が認められました。
 これらの病斑部および菌核から、ねぎ、たまねぎ、にんにくに病原性を示す1種類のBotrytis属菌が分離されました。本菌は、2〜5℃でも生育し、20〜25℃の間に生育適温があり、PSAおよびねぎ培地では、始め白色のちに灰褐色の菌叢となり、黒褐色、不整形〜脳状の菌核(1〜12×1〜8×1〜5mm)を形成します。また、18℃・BLB照射下では多数の分生子を形成し、分生子は単胞、楕円形〜卵形で、大きさ9.8〜18.2×7.4〜14.6μm(平均14.1×9.5μm)でした。以上の結果をもとに、Allium属植物に寄生するBotrytis属菌4種の形態的特性についての報告と比較検討したところ、本菌は、平成10年5月、島根県から報告されたものと同じねぎ白かび腐敗病菌B. porri Buchw.と同定されました。






(道南農試・渡島中部地区農改センタ−)



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