北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成9年5月、江差町の農家栽培りんどう「アルプス早生」で葉がモザイク及び糸葉となる生育異常株が散見されました。本被害は6月に早生系品種で発生が目立ちました。数種植物への接種試験の結果、ささげ、そらまめ、Chenopodium amaranticorに局部病斑、タバコ「White Burley」,Nicotiana glutinosaにモザイク病徴を生じました。またCucumber mosaic virus(CMV)の抗体を用いたELISA検定では、生育異常株10株のうち4株が陽性反応を示しました。以上のことから本病原ウイルスをCMVと同定しました。本ウイルスはきわめて寄主範囲が広く、容易に汁液伝染し、またアブラムシにより非永続的に伝搬されます。生育異常株の発生は漸増傾向にあり、この原因として早生系品種では8月上旬の切り花終期以後は防除が不徹底となりやすいこと、りんどうは切り花期間だけでも5〜6年と栽培期間が長いため感染する機会が大きいことなどが挙げられます。
症状写真 |
葉のモザイク |