北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成8年度新発生病害虫]

ジャーマンアイリスのボトリチス根茎腐敗病(新発生)


 1996年1月、札幌市、富良野市および上富良野町より集荷貯蔵されたジャーマンアイリスにおいて、根茎が激しく腐敗する症状が発生した。根茎は褐色となって腐敗し、乾腐症状を呈した。根茎表面に菌核が形成される場合も認められた。病斑部から病原菌を分離したところ、Botrytis属菌が高率に分離された。本菌の含菌寒天をジャーマンアイリスの根茎に接種したところ、同様の症状が再現された。本病菌をPDA培地で培養するとはじめ淡褐色でのちに黒色となる菌核が形成され、その形態は凝集・回旋し、不整形の塊となる。分生子柄は暗色で直立し、分生子(大型分生子)は淡褐色で亜球形〜卵形、大きさの平均は11.0×8.5μmであった。また、分生子の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ細い毛状の構造であった。小型分生子の形成は25℃で豊富に認められた。分離菌株の最適生育温度は20〜25℃である。以上の結果から本病はBotrytis convoluta Whetzel et Draytonによるボトリチス根茎腐敗病と同定された。

(花野菜センター)



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