北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
帯広市川西町の約100a(3筆)のながねぎ圃場で、1996年9月後半ころに、ほとんどの葉の先半に多数の白斑症状が認められた。白斑は大きさが1×2mm〜2×5mmほどで不整型、周囲は滑らかな曲線ではなく鋭角的で、時に糸状の部分もあった。白斑部の表皮組織には、刺し傷らしきものは認められず、古い白斑では縦に裂けていた。へこみやつぶれなどの異常は認められない。表皮は容易に剥ぐことができ、内部は粗いスポンジ状の空洞で、細胞組織が物理的に破壊されたように見えた。空洞への侵入口は見られず、ネギの内壁が残っていることで、ネギコガ幼虫の食害とは区別できる。発症は葉位が古いものに多く、新葉では先端部に偏って発生していた。
この症状を、現地で少数ながら発生していたマキバカスミカメによる食害と仮定して、9月末に成虫を4〜6日間接種したところ、小型・少数ながら同様の被害状況を再現できた。ただし、一部は見かけがかすり状で、明瞭な白斑となるには、なお数日を要すると思われた。幼虫の吸汁による発症能力については定かではない。おそらく、8月後半〜9月前半に相当数のカメムシ類が吸汁して、このような被害をもたらしたものと想像される。なお、エゾアオカメムシの成虫接種では、このような症状は再現できなかった。
ながねぎの葉の先端部は出荷時に切り落とすため、外葉下部の白斑の発生が問題となる。おそらく、8月中のカメムシ発生量が少なければ、下位の白斑分布数は減少するものと想像される。