北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成8年度新発生病害虫]

アブラナ科野菜のオオモンシロチョウ(新発生)


 1996年7月下旬、道南・道央地方において国内では初確認のオオモンシロチョウの成虫が採集され、繁殖の証拠もみられるとの情報が新聞紙上に掲載された。8月8日に病害虫防除所、中央農試栽培第二科で後志支庁管内の現地調査を行ったところ、共和町内の広い範囲にわたり家庭菜園のアブラナ科野菜(ダイコン、キャベツ、ブロッコリー、タイナ)に鱗翅目幼虫が集団で寄生、食害しているのが確認された。また、9月には森町の茅部地区農改センターのキャベツで、10月はじめには大野町の道南農試ほ場のキャベツにおいても同様の幼虫、食害が確認された。本幼虫はその形態および色彩から新侵入害虫であるオオモンシロチョウPieris brassicae Linnaeusと同定された。本種の幼虫は青緑色またはくすんだ黄色で、背部には黄色の縞、胴部には黒い斑紋があり、判別は容易である。アブラナ科植物を集団で暴食する習性がある。
 さらに道南・道央地域の各農改普及センターによる発生分布調査でも大野町、函館市、江差町、北桧山町、岩内町、黒松内町の一般家庭菜園などで幼虫の発生が確認された。本種はすでに後志地方以南全域に分布しているものと考えられる。一般農家ほ場では定期的な殺虫剤の散布のため、被害は小さいと考えられるが、本種は終齢幼虫が分散して物陰などで蛹化するため、家庭菜園を中心に発生密度が高まることが懸念され、今後の発生動向に注意する必要がある。

(道南農試、中央農試栽培第二科、病害虫防除所)



集合中のオオモンシロチョウの幼虫 オオモンシロチョウの老熟幼虫 オオモンシロチョウの蛹

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